早坂遥 ‐露出競争‐ 後編
CG付きノベル -if-「――はぁっ、良かった。どうにか見つからなかったみたい」
本当に会議室の鍵が開いてて良かった。
だけど、絶頂の余韻で弛緩した身体と極度の緊張が解けて、腰が抜けたみたいにしばらく動けなくなってしまった。
一度安心してしまったせいか再び尿意が襲ってきて、膀胱にキュッと力を込める。
「(どうしよう。このままじゃ、本当に我慢出来なくなっちゃうよ……っ)」
意識してないと漏れちゃうそうで、焦りからなのか心臓の鼓動が速くなってる。
授業が始まってもう何十分経ったんだろう。
もしかしたら、後少しで授業が終わっちゃうかもしれない。
「早く、行かなくちゃ……っ」
何度も絶頂して、思考が白んでうまく纏まらない。
そんな中でも身体はこの異常な状態に反応して、何度も絶頂に達しているのに貪欲に快楽を求め続けてる。
最初は楽しむ為だけに始めた露出行為が、今では広人に見つかって強制されてる。
嫌で嫌で堪らないはずなのに、負け続ける度に身体は広人の命令を望むようになってるのが分かる。
いつの間にか、呼び出されることに抵抗がなくなって来てる。
「(ダメっ。このままじゃいつか、ハルからあいつのことを求めちゃうかもしれない……っ)」
身体だけじゃなくて、心まで屈服させられたらハルはもうハルじゃなくなってしまう。
きっと、ヒナちゃんを護るって目的も忘れちゃう。
大きく息を吸って、歯が軋むくらい強く噛んでから会議室のドアを開けて廊下に出た。
「――んんぅッ!?」
廊下に出た瞬間会議室とは違う外の空気に、想像を絶するほどの寒気と電流みたいに甘い刺激が全身に走った。
「ふぁっ、ぅうんッ! はぁ――っ。凄い」
「(やっぱり、気持ち良い。ああ、ハル廊下で裸なんだよね?)」
脳が処理を拒否するほどの背徳感と見つかった時の絶望感で、気づいたら全身が震えて不自然に頬が引き上がっていた。
「い、今ここで大声出したら、ハル――みんなに見られちゃうんだよね」
背筋がゾクゾクして、全身を愛撫してるみたいな空気だけで快感が押し寄せて来る。
四つん這いで歩くと両方の手のひらと膝に廊下のひんやりした感触が伝わって、普段よりも低い視線は被虐心が煽られる。
シンとした廊下に先生の声とテスト中みたいにシャーペンの走る音が聞こえる。
「はぁっ、はぁっ。んぁっ、はぁ――っ」
すでに破裂しそうなほど心臓が鳴って、教室のすぐ隣を裸で歩いてることが信じられなく頭がおかしくなりそうになる。
「(あ、ああっ。教室のドアの前を通る度に開いたらどうしようって考えちゃうよぉッ)」
いつどのタイミングで開くかもわからないドアを見つめて、気づけば心のどこかでドアが開いて騒ぎになることを望んでしまっている。
「(ああんっ、こんな薄い壁一つ挟んで、みんな授業受けてる……っ)」
「ふぁっ、はぁああっ。んぁッ! んくっ、はぁ――っ、はぁ――っ。こ、こんなの続いたらハル、ホントにどうにかなっちゃうよぉ」
気持ちが昂り過ぎて、数分、ううん、数秒後のハルの姿も想像できない。
脳裏に何度も自分から教室のドアを開けて、裸よりも恥ずかしい愛液とおしっこでグショグショになってる下着を見られることを想像してしまう。
そんなことになったら人生が終わっちゃうのに、理性が飛んで衝動が抑えられない。
「(もうちょっと行ったら、ハルの教室に着いちゃう……っ!)」
今の自分が何をするのか分からなくて、ただただ不安と恐怖が増幅して行く。
「(ダメ、ダメなんだからッ! ホントに開けちゃったら、ハルの人生終わっちゃう!)」
焦りと期待で、頭の中がぐちゃぐちゃで気持ち悪くなって来る。
それなのに身体はこの異常な状況に快楽を覚えて、さらに強い刺激を求めてしまう。
「はぁっ、んんぅっふぁっ。ぅううんッ! ぁんっ、はぁ――っ。んくっ」
頭が真っ白になっちゃうくらいの快感で、本当に何も考えられなくなる。
快楽を貪ろうとする意識がどんどんと膨れ上がって、見つかって晒し者になる想像が頭の中から離れなくなってる。
ヒナちゃんも、なっちゃんにも裸を見られて言い訳も出来ない状況に追い詰められる。
「あっ、ぅうんッ! おしっこ、漏れちゃいそう……ッ」
意識が快楽に流されて、限界まで来ている尿意が存在感を増す。
グルグルってお腹が鳴って、耐えきれなくなって廊下に蹲る。
「(う、うぅぅ……っ。ダメ、もう我慢出来ないよ――ッ!)」
「ああ、ダメッ。今はそんなこと考えちゃダメよ」
声に出して脳裏に浮かんだ想像を打ち消す。
視線を上げると近くに女子トイレのプレートが見えて、我慢してるよりもおしっこをしちゃったほうがいいんじゃないかと思う。
「(あいつにはおしっこを我慢してる演技で騙せれば――でも、それがバレたら?)」
間違いなくもっと残酷な露出プレイを強要されてる。
ゲームなんて託けて、ハルには絶対勝ち目のない卑劣なことをさせるに決まってる。
「あっ、ああぁぁああッ。ダメぇっ、ホントに漏れちゃうよぉ……っ」
とにかく意識を別にところに持っていないと、すぐに我慢の限界が来てしまう。
蹲っていた身体を起こして、再び歩き始める。
「(お漏らししちゃうッ! すぐ隣でみんなが授業をしてる場所でハル、おしっこ我慢出来なくなっちゃうッ)」
どうしようもない尿意と僅かな風でも感じてしまう身体がハルの意識を奪う。
後少しでも何か刺激があったら、イッちゃうかもしれない。
そんな危険な状況が、さらにハルの被虐心を煽る。
「(どうして、ハルってこんなに変態さんなのッ!? こんな状況なのに気持ち良くなって、オマ○コからエッチなお汁を垂らしてるなんて)」
四つん這いで歩いて、広人に命令されているとまるでハルが犬になったような気分になる。
「(も、もしも首輪なんてしてたらホントに犬と一緒、ううん、それよりももっと酷い牝犬だよぉ……っ!)」
電柱にするみたいに片足を上げておしっこしたら、絶対にイッちゃう。
想像しただけでも全身が痺れるほどの快感が走って、さっきからゾクゾクが止まらない。
「はぁっ、んぁっはぁ――っ。おかしくなるぅっ。ハル、もう頭変になっちゃってる」
もうすぐ目の前がハルの教室で、手を伸ばしたらドアに届いてしまう。
気づいたらハルは手を伸ばしていて、心の隅で僅かに残っている理性が警鐘を鳴らし続けてる。
「(開けたらダメッ! ホントに終わっちゃうのに。どうして、どうして逆らえないのッ!?)」
伸ばした手の指先がドアに触れて、引き戸の金属部に第一関節を差し込む。
この瞬間、指先に力を込めたらドアが開いてしまう。
「(だ、ダメよ……っ。やっぱりこんなこと出来ない)」
どうにか理性が衝動に押し勝って、手をドアから放す。
だけどその瞬間、目の前のドアが開け放たれる。
「(――イヤッ!)」
両目を見開いて恐怖で身体が震える。
気づいた時には緊張の糸が切れてしまって、堪えていたモノが溢れてきた。
「あ、あはぁっ。もうダメぇ、あはは、ごめんね……っ?」
誰に謝ったのか、自然と口から漏れた謝罪の言葉と同時に涙が零れた。
だけど、その先に悲鳴やざわめきが起こることはなかった。
「どうした、道永。気分が悪いんじゃなかったのか? それとも、誰かに付き添ってもらうか?」
「いえ、大丈夫です。廊下が思ったよりも寒かったんで」
そういって再び締められた教室のドアを眺めながら、ゆっくりと視線を上げる。
「あーあ、本当に漏らしちゃったんですか?」
ずっと我慢していた分、ドアが閉まった後もおしっこが止まらなくて、放尿の解放感に頬が緩んで声が漏れる。
「ああぁっ、ぁぁああああっ。あはっ、ははは……っ。おしっこ、止まらない……っ」
最初は下着から太ももに伝っていたおしっこが、ジョボジョボって音を立てて廊下に水たまりを作っていく。
「漏らしちゃったよぉ。ごめん、ごめんなさいぃ……っ」
未だに止まらないおしっこを眺めながら、何度も何度も謝り続ける。
「今回のゲームも僕の勝ちだね。ねぇ、早坂さんはこんな真昼間の廊下でおしっこ漏らして恥ずかしくないの?」
嘲笑うような広人の声がスイッチになって、抑えていた絶頂感が限界を迎えた。
「ああっ、ダメ。イク、イッちゃう」
全身を突き抜ける快感に口から涎が零れて、目の前が真っ白に染まる。
力が入らなくなって、おしっこで水たまりになっている場所に倒れ込んでしまった。
「うわぁっ、酷い光景だね。廊下が早坂さんのおしっこの臭いで充満しちゃってるよ」
「い、いやぁっ。そんなこと言わないで……っ」
ぼんやりする意識の中でも、全身を刺すような羞恥に身体が焼けてしまうそうだった。
「これじゃ、下着の意味が無いね。もう脱いじゃえば?」
「ふぇ? は、はい――分かりました」
言われるままにビショビショに濡れた下着を脱ぐ。
「――ふぁッ! はぅううんッ!?」
無意識に下着を脱いだけど、今更ながらこれで全裸だってことを実感させられる。
おしっこか愛液か分からないけどオマ○コがベトベトに濡れて、身体は自分のおしっこを被ってしまっている。
一瞬にして戻って来た理性と現実に、羞恥じゃ表現しきれないほどの恥ずかしさで絶叫したくなった。
「今更何を恥ずかしがってんだか。ほら、早く下駄箱に行かないと授業が終わるけどいいの?」
「(――そうだった)」
忘れかけていた目的を思い出して歩き出そうとしたけど、ぴちゃって足元に広がる水たまりに意識が向く。
このまま放置したら、授業が終わって皆にハルのおしっこを見られてしまう。
絶望的なこの状況で助け舟を出したのは、意外にも広人だった。
「この場はどうにかするから、早坂さんは早く下駄箱に行ってよ。それとも、露出狂の早坂さんはここで見つかりたいのかな?」
「ち、違っ。違うわよ」
お礼なんて絶対に言わない。
だけど、今は広人の言葉を信じるしかない。
尿意も無くなり、理性も戻って来たハルは四つん這いで歩くことにも慣れて来て二階の階段まで歩いた。
階段からは立ち上がって、周りを警戒しながらだけどすぐに下駄箱に辿りつけた。
「無い。どうしよう、ハルの制服が無くなってる」
だけど、約束の場所に紙袋はすでに無くなってしまっていた。
制服の中には生徒手帳やケータイも入ってるし、ブラも入ってるから着替えたなんて言い訳も出来ない。
そもそも今日は体操着になる授業が無い。
脳内で最悪の結末が次々に浮かんで、力が抜けて膝からその場に崩れ落ちる。
「はい。さっさと着替えたら?」
目の前に無くなったはずの紙袋が映って、慌てて掴んで中身を確認する。
そこにはちゃんと制服が入っていた。
「あ、あんた最初から自分で持ってたの!?」
「そんなの当たり前に決まってるよ。まさか、本当にこんないつ見つかってもおかしくない場所に置いとくとでも思ってたの?」
目を見開いて、込み上げる怒りをぶつけるように広人のことを睨み付ける。
「ほら、睨んでないで着替えたら?」
最初から広人はこのゲームの勝利を確信していて、まんまと手のひらの上を転がされていた。
同時に授業が終わるチャイムが鳴って、五度目の敗北で露出ゲームが幕を閉じた。